ウッドショックとはー材木不足の原因についてー

目次

1.ウッドショックとは

2.ウッドショックの要因

3.輸入材から国産材への転換は進むのか

4.材木不足による価格高騰はいつまで続くのか

5.ウッドショック以外の懸念材料

6.今後の住宅価格について

7.今後の住宅建築の注意点について

8.今後の材木商店における販売価格について

 

1.ウッドショックとは

 2021年3月頃から騒がれ始めたウッドショックとは、木材の海外からの輸入量が大幅に減少したことと、それに伴って木材価格が高騰したことを言います。
 木材業界において、過去にもウッドショックと呼ばれることが2回ありましたが、今回のウッドショックによる木材価格の高騰は過去に経験したことのないものとなっています。
 価格の高騰が著しいものとしては、住宅において構造材や下地材として使用される米松、米栂、SPF、ホワイトウッドや、内装用の化粧材として使用されるスプルス、ピーラー、米ヒバ、米杉などが挙げられます。これらは北米やヨーロッパが産地となっている樹種になります。
 今のところ高騰しているのは価格が比較的安い針葉樹の樹種が多く、ホワイトオークは材料不足になりつつあるものの、タモやナラといった広葉樹についてはまだ大きな動きがありませんが、2022年からロシアからの原木輸出が禁止されるため、広葉樹についても不安定な状況が起きる可能性が高くなっています。
 また、輸入材不足による国産材への切り替えの動きから日本各地の木材市場において桧や杉の丸太や製材品の価格が毎月のように上昇している状況となっています。
 材木商店を運営する藤井ハウス産業では構造材や下地材は販売していませんが、ウッドショックになってからは問い合わせを頂くことが増えてきており、資材不足を肌で感じます。材木商店で販売している化粧貼り集成材の芯材として使用しているホワイトウッド集成材と米栂集成材についてはこの半年で仕入価格がほぼ2倍になりました。あまりの急激な値上がりにより、対応が非常に難しい状況となっています。化粧貼り集成材の芯材の代わりの樹種としてラジアータパイン集成材への切り替えを順次していく予定ではありますが、しばらくこうした混乱は続くと思われます。

2.ウッドショックの要因

 ウッドショックの要因としては以下の点が挙げられます。

① 新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進んでいるアメリカや中国における住宅建設需要の大幅な増加
低金利を背景に特にアメリカでは郊外における建設需要が急増し、材料需要が急増しています。また、日本では住宅は住むために建てるのが一般的ですが、アメリカは住宅を投資対象として購入するケースもあり、実需以上に建設ラッシュが進んでいる可能性もあり、今後のアメリカにおいて金利が上昇した場合には急激に建設需要がしぼむ可能性も考えられます。

② 世界的に流通のバランスが崩れていることによる木材を積むコンテナの不足や輸送船運賃の上昇
世界の中で一足早く経済が立ち直りつつあるアメリカや中国には輸送船が集中するため流通のバランスが崩れており、また検疫の徹底や新型コロナウイルスへの感染などにより、輸送船からコンテナを下ろす作業に従事するスタッフが不足していることからコンテナを下ろすのにも時間がかかり、海上で待機している輸送船もあるほどで、コンテナが滞留する事態になっています。
また、木材は食料品とは異なり賞味期限が無いため、対応を後回しにされるという話もあるそうです。

③ 品質と価格について要求水準が高い日本マーケットの国際的な経済競争力や購買力の低下
戦後の高度経済成長期における住宅建設ラッシュによる木材需要の急増に対応するために木材輸入の自由化が段階的に進みました。北米やヨーロッパから安価な材料が入ってくるようになり、国産材の使用比率は下がっていくことになります。当初は北米やヨーロッパにとって日本は世界的な経済大国であり、魅力的なマーケットだったものの、近年では品質と価格に要求水準が高い日本は、何でもまとめて買ってくれる中国やアメリカなどよりも優先順位が落ちてしまいました。昨年の新型コロナウイルス感染症の拡大の際に日本は建設需要の落ち込みにより輸入量を抑えたため、一時的に木材相場は下がりましたが、その後にアメリカや中国の経済回復が進み始めると日本が輸入を増やそうとしてもアメリカや中国の仕入れている単価以上の単価を出さなければ買えないという状況になってしまいました。

これらの要因で木材市場は品薄、価格高騰の異常事態となっており、今後更なる混乱も予想されています。

3.輸入材から国産材への転換は進むのか

 ウッドショックで輸入量の減少により、国産材への転換が進んでいますが、従来、強度が求められる梁などの構造材には米松が多く使われており、桧や杉にするとやや強度が劣り、サイズを大きくするため割高になります。そのため、価格と強度の兼ね合いを考慮する必要があります。
 戦後間もない頃の木材自給率はほぼ100%でしたが、木材の輸入自由化により平成に入って木材自給率は20%を切りました。その後国産材利用が推進されたため2019年では37.8%まで木材自給率を戻しましたが、林業従事者の高齢化や長年の輸入材とのコスト競争によって製材工場の設備導入や設備更新の意欲が低下していることから急に国産材を増産しようとしても難しいと思われます。
 また、日本の林業の現状は補助金頼りで成り立っている側面が強く、補助金無しでも自立して経営していけるような仕組みづくりも必要になっています。
 以上より、簡単に国産材への転換は難しく、時間をかけて進めるしかありません。

4.材木不足による価格高騰はいつまで続くのか

 SPFは1年前と比較して約4倍にまで価格が高騰しており、ここにきて値上がりの一服感も出てきていますが、まだまだ輸入量は日本の希望数量を大きく下回っています。また、6月に入ってカナダでは異常熱波によって50度近くまで気温が上がっており、山火事が発生しています。山火事が起きると入山できなくなるため、丸太の伐採、搬出が難しくなり供給量が更に減ることが懸念されています。
 需要と供給のバランスによって価格は決まるため、旺盛な需要がある中、供給面で不安定要素がある限り、年内どころか来年になっても高騰は続く可能性はあり、いつまで続くのかまだまだ見通せない状況です。

5.ウッドショック以外の懸念材料

 ウッドショックによって木材価格の高騰が進んでいますが、住宅にかかる費用は材料費だけでなく、労務費や経費にも注意する必要があります。
 以前から建築業界では大工不足が叫ばれており、今後もその傾向が強くなっていくため、人件費は上昇していくと思われます。
 また、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響により、国内においては巣ごもり消費拡大に伴うネット通販の増大によって宅配荷物が急増し、運送業界の人手不足による物流コストの上昇、運送効率を上げるための荷物の重量や長さ制限などの輸送制限も加わり、地域においては運送価格の値上げ傾向にあります。
 そのため、材料費だけでなく、労務費や経費といった住宅に関する全体のコストにも注意しなければならなくなってくるでしょう。

6.今後の住宅価格について

 木材が住宅価格に占める割合は10~20%と言われています。今回のウッドショックで構造材や下地材を中心として値上がりが続いており、大手ハウスメーカーをはじめ、地場工務店でも住宅価格の値上げがされています。金額にすると数十万円~100万程度の値上がりになっていますが、今後更に値上がりする可能性もあります。
 また、ローコストで販売を伸ばしている建売住宅については販売が好調で在庫が減っている状況のため、資材の値上がりに応じる形で今後建設する建売住宅から値上げが進められると思います。

7.今後の住宅建築の注意点について

 ウッドショックの影響は大きく、材料が揃わないために工事が進まず、施主が今住んでいるアパートの家賃を予定より長く払うことになったり、住宅の引き渡し間際に工務店から施主へ追加の工事代金を求めたり、建築の契約後に使用する材料のグレードを落とす相談をしたりするといった話も聞こえてきます。契約前にしっかりと内容を詰めてから住宅を建てられることをお勧めします。
 また、以前から国産材を積極的に使用している工務店であれば輸入材をメインで使用していた工務店よりも材料を安定調達できるため、工務店を選ぶ際のポイントにするといいでしょう。
 建築トラブルを避けるために今は住宅を建てないという選択をするのもいいでしょうし、この先も住宅価格が上昇する可能性があるから今建てるという選択をするのもいいと思います。いずれにしても正確な情報を入手できるようにして各自で判断するしかないと思います。

8.今後の材木商店における販売価格について

 材木商店では安定供給のために原材料の在庫確保に努めていますが、長くても数か月~半年程度分の在庫しかありません。そのため、すでに値上がりした材料での加工販売を行っているため、販売価格については随時見直しをさせて頂いております。
 今回のウッドショックによって特に北米産地の材料の値上がりが大きくなっています。具体的には米栂、スプルス、ピーラー、米杉などの樹種になります。また、化粧貼り集成材の芯材にはホワイトウッド集成材と米栂集成材を使用していましたが、今後更なる価格高騰が見込まれることや資材の安定調達の観点から芯材にラジアータパイン集成材も使用する予定となっております。できるだけコストを抑えて販売価格を維持できるよう努めて参りますので、今後ともご利用頂ければ幸いです。

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