集成材の強度・サイズ

目次

1.集成材(積層材)とは

2.集成材ってどんな種類がある?

3.集成材の種類別の用途について

4.集成材の強度について

5.集成材の柱、桁のサイズ

6.ウッドショックによる集成材の柱、桁の状況

 
ここでは建築に広く採用されている集成材の強度やサイズについて説明します。
 

1.集成材(積層材)とは

 ホームセンターに行くと色々な種類の木材が販売されていますが、その中でも安くてお値打ちな集成材について説明します。
集成材とは、厚さ30mm程度の小さな角材を、柾目・板目方向に関係なく、繊維方向を揃え、接着剤を使い、フィンガージョイントにより必要な厚さ・巾・長さに接着した材料のこと。

木の繊維方向をうまく按配することで、強度を出したり、狂いを防ぐことができ、無垢では難しい大断面や長尺の材料を作ることができ、無垢に比べ、反り・割れが少なく、品質が安定しつつ、木そのものの木目や木肌をそのまま楽しむことができます。

集成材が考えられた最初の動機は、無垢材では求めることができない「太く長い柱」や「巾の広い板」が欲しかったからだと言われています。
そこで、下図のように 長さ・巾・厚さ の方向に接着して、必要な大きさの部材にしたものが集成材です。

集成材とは

規格製品もあり、「フリー板」と呼ばれています。
繊維が異なった方向で接着されているので、木材のもっている収縮などによる動きが、ある程度抑制されるのが特徴です。
また、集成材には多くの種類があり、大きくは「構造用積層材(集成材)」と「造作用積層材(集成材)」に分けられます。

呼び方も様々で「積層材」「集成材」と言われたり、無垢材が集成してできているので「ムク集成」と言われたり、無垢のブロックが集まっているため「ブロック集成」とも言われます。

集成材の特徴

  • 無垢材に比べ、反り・割れが少ない。
  • 巾が広い板、長い板も可能。
  • 単価計算をしやすい。
  • 素材を生かした木目も楽しめる。
  • 細かい材を集めて作るため、資源効率が良い。(つまり、エコ)

積層

2.集成材ってどんな種類がある?

 少し文章が難しいですが、集成材は日本農林規格(JAS)において、以下の4つに分類されています。

・造作用集成材
集成材のうち、素地のままのもの、素地の美観を表したもの(これらを二次接着したものを含む。)又はこれらの表面にみぞ切り等の加工若しくは塗装を施したものであって、主として構造物等の内部造作に用いられるもの。

・化粧貼り造作用集成材
集成材のうち、素地の表面に美観を目的として薄板(薄板を保護するために、紙、薄板と繊維方向材 を平行にした厚さが5mm未満の台板、薄板と繊維方向を直交させた厚さが2mm以下の単板、厚さが3mm以下の合板又は日本産業規格(以下「JIS」という。)A 5905に規定する品質に適合することが確認されている厚さが3mm以下のMDF若しくはハードボードを下貼りしたものを含む。)を貼り付けたもの又はこれらの表面にみぞ切り等の加工若しくは塗装を施したものであって、主として構造物等の内部造作に用いられるもの。

・構造用集成材
集成材のうち、所要の耐力を目的として等級区分したひき板(幅方向に合わせ調整したもの、長さ方向にスカーフジョイント又はフィンガージョイントで接合接着して調整したものを含む。)又はラミナブロック(内層特殊構成集成材に限る。)をその繊維方向を互いに平行にして積層接着したもの(これらを二次接着したもの又はこれらの表面に集成材の保護等を目的とした塗装を施したものを含む。)であって、主として構造物の耐力部材として用いられるもの(化粧ばり構造用集成柱を除く。)をいう。

・化粧貼り構造用集成柱
集成材のうち、所要の耐力を目的として選別したひき板(幅方向に接着したもの及び長さ方向にス柱 カーフジョイント又はフィンガージョイントで接合接着して調整したものを含む。)を積層接着し、その表面に美観を目的として薄板(薄板を保護するために、紙、薄板と繊維方向を平行にした厚さが5mm未満の台板、薄板と繊維方向を直交させた厚さが2mm以下の単板、厚さが3mm以下の合板又はJIS A 5905に規定する品質に適合することが確認されている厚さが3mm以下のMDF若しくはハードボードを下貼りしたものを含む。)を貼り付けたもので、主として在来軸組工法住宅の柱材として用いられるもの(横断面の一辺の長さが90mm以上150mm未満のものに限る。)をいう。

3.集成材の種類別の用途について

 4種類の集成材のそれぞれの用途は以下の通りです。

・造作用集成材(積層材)
造作用集成材は階段、天板、カウンター、造作材(枠材)などの内装に使われています。
造作用集成材は主に海外から輸入するフリー板という原材料を加工して製品にされており、フリー板より大きなサイズのものは小さなラミナを集成接着して製品にされています。
天板、テーブルを作る場合には無垢材に比べてより大きなサイズを作ることができ、価格も安く、反りも無垢材に比べて少ないというメリットがあります。

・化粧貼り造作用集成材(化粧貼り)
化粧貼り造作用集成材は和室の造作材(枠材)のほか、商業施設や飲食店の天板、カウンター、造作材(枠材)など内装用に使われています。
化粧貼り造作用集成材は芯材に安い樹種の集成材を使用し、表面に銘木を薄くスライスした単板を貼っているため、無垢材よりも安く、さらに同じ柄、色のものを大量に生産することができます。日本の高度経済成長期に大量に家が建てられ、和室材の需要が増えた時に安価で大量生産できる化粧貼り造作用集成材が多く使われました。

・構造用集成材
構造用集成材は住宅や非住宅の柱や梁、桁など建物の構造材として使われています。強度性能や接着性能、ホルムアルデヒド拡散量などについて試験方法と適合基順がJASで定められており、一定水準の品質が保たれている構造材です。

・化粧貼り構造用集成柱
化粧貼り構造用集成柱は主に和室の柱に使われています。構造用集成材を芯材として使用し、表面に銘木を薄くスライスした単板を貼っているため、構造材としての機能と化粧材としての機能を兼ね備えた集成材です。

 上記4種類の集成材のうち、強度が必要となってくるものは構造材として用いられる「構造用集成材」と「化粧貼り構造用集成柱」になります。また、強度が必要な分、厚みや巾といった断面のサイズも造作用と比べて大きくなります。

4.集成材の強度について

 集成材は小さな木材を接着剤で貼り合わせているから無垢材よりも強度が落ちて弱いのではないか?と考える方がいらっしゃるかもしれません。
 しかし、集成材はJASの規格に基づいて生産される工業製品であり、無垢材に比べて、強度性能のバラツキがほとんどなく、品質が安定しているという優れた点があります。更に集成材は量産化によって無垢材よりも安く製造することが可能です。また、集成材の強度等級は製品に貼ってあるJASシールに明記され品質が保証されています。構造材の強度性能がはっきりと数値化され、低コストの集成材は現在の建築において重要な役割を担っています。
構造計算が必要な住宅の柱や梁に使用される構造用集成材は曲げヤング係数と曲げ強さの組み合わせによって強度等級が表示されるようになっています。
 集成材の強度等級表示において「E120-F330」といった表示がされていますが、Eはヤング率、Fは曲げ強度のことを示しています。
「E」のヤング率とは、初期荷重による材のたわみ量を表す係数のことです。ヤング率が高い材ほどたわみが小さく、ヤング率が低い材ほどたわみが大きくなります。
「F」曲げ強度とは、材が破壊されるまで荷重をかけたときの強さを示したものです。曲げ強さの数値が高い材ほど破壊までに大きな力が必要なため、折れにくい材といえます。

5.集成材の柱、桁のサイズ

 集成材の柱で住宅に使われる一般的なサイズは厚み105mm×巾105mmサイズか、厚み120mm×巾120mmサイズで、長さは3M、4M、6Mになります。それ以外のサイズだと厚み135mm×巾135mmや厚み150mm×巾150mmなどがあり、建築設計に基づいた必要強度に応じて材料を大きくしていくことになります。
 集成材の柱の樹種としてはホワイトウッド、レッドウッド、米松などが使われていますが、その中でも特にホワイトウッドが使われています。

 集成材の桁のサイズは巾105mm、120mm、135mm、150mmで、厚みは150mm~450mmまで30mm刻みでサイズの種類があります。長さは3M~12Mまであり、柱と同じく、建築設計に基づいた必要強度に応じて材料を大きくしていくことになります。
 集成材の桁の樹種としてはレッドウッドや米松が使われています。

6.ウッドショックによる集成材の柱、桁の状況

 2021年3月頃から騒がれ始めたウッドショックによって、木材の海外からの輸入量が大幅に減少し、それに伴って木材価格が高騰しています。構造用に使用されるホワイトウッド・レッドウッド・米松の柱や、レッドウッド・米松の桁の入荷も大幅に減少し、国内在庫も減っています。そのため、建物を建てるために必要な柱や桁の加工を行うプレカット会社では材料確保が難しく、減産や材料支給による賃加工であれば対応するといった状況になっており、ハウスメーカーや工務店では住宅建築を受注したくてもできないといったケースもあります。
 2021年の年内で落ち着く気配はなく、今後も輸入量の減少と価格の上昇が続く可能性があります。国産材である桧や杉の構造用集成材を生産している工場もあることから、全国的に徐々に国産材の構造用集成材にシフトしていくかもしれません。

 ここでは集成材の強度やサイズについて記載しましたが、材木商店で扱う集成材は構造用ではなく、造作用ですのでご注意下さい。

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